1960~70年代にかけて、東京都や横浜市など革新系首長が率いる自治体が全国に登場した。これらは高度経済成長のひずみへの応答として誕生し、福祉、都市、環境、教育などの政策諸分野において、①市民参加を基本とした政治・行政手続きの民主的改革、②高度経済成長中心の政策から市民生活基準(シビル・ミニマム)に基づく市民福祉型への転換、③国家主導型の政治から市民・自治体主導型の政治への転換を進めたとされる。革新自治体の時代は1980年代には終焉を迎えたが、現代の都市づくりの根底にある概念や方法(例えば市民参加、都市デザイン、環境共生)の原点の多くがこの革新自治体の経験にあるのは確かである。人口減少、超少子高齢化、都市縮退など都市をめぐる状況が大きく変化した現在、こうした概念や方法の意義と有効性を根底から問い直し、必要に応じて再獲得していくプロセスが求められる。本シンポジウムでは、1960~70年代の革新自治体の都市政策に着目し、その都市・建築のレガシーについて、市民、まちづくり、広場をキーワードに議論し、一つの「戦後空間」を浮かび上がらせていく。
■日時:2019年6月29日(土)14:00~17:00
■場所:建築会館会議室(東京都港区芝5-26-20)
■基調講演
岡田一郎[日本大学]:革新自治体とは何だったのか
鈴木伸治[横浜市立大学]:都市計画から見た横浜の飛鳥田市政とその後
■コメンテーター
岩崎駿介[元横浜市役所]
佐藤 滋[早稲田大学]
近森高明[慶應義塾大学]
■司会進行
中島直人[東京大学]
■料金:2,000円[一般] 1,500円[会員] 1,000円[学生]
■定員:70名[事前申し込み制・先着順]
■申込:
https://www.aij.or.jp/event/list.html■主催:日本建築学会建築歴史・意匠委員会